現代はストレス社会。15人に1人が一生のうちに一度はうつ病になるとまで言われている。ストレスは誰にでもあるものだが、ストレスをうまく解消するためにはオフタイムに心からリラックスすることが大切だ。休むときにはしっかり休み疲れた心と身体を癒すことで、また明日から頑張ろうと思える。
心と身体の癒しについて考える上で切っても切り離せないのが、睡眠について。上手に睡眠をとることは実は簡単ではない。夜なかなか寝付けないなど快眠に至らず悩んでいる人も多い。
そこで本稿では、うまく睡眠をとるコツについて考察してみた。改めて自分の睡眠環境を振り返り、必要があれば睡眠環境を改善してみるのもよいだろう。
うまく睡眠をとるコツ
毎日の生活において
毎日同じ時刻に寝て起きて、睡眠のリズムを作る
体内時計を調整するのは重要だ。毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝る習慣をつけることで、自然といつも寝ている時間に眠くなるサイクルが生まれる。
昼寝をしない(※少しの時間の昼寝は可)
安眠のコツは疲労をうまくためて眠気を誘うこと。昼寝をしないという考え方は大切だ。
朝早く起きて昼寝をしなければ、夜遅くになるぐらいにはかなりの時間起きている状態になっている。自然と眠気が襲ってくる可能性は高い。夜遅くには熟睡できるはずだ。
少しの時間の昼寝は夜に熟睡しているのと同じ効果があるといわれており、その疲労回復効果は通常の睡眠に比べて約3倍なのだそうだ。ただしお昼寝の時間は「20分程度」がベスト。
問題は、20分程度の昼寝というのは結構難しく、うまく取り入れられるかどうかが怪しい点だ。最悪なのは、少しの時間の昼寝のつもりが寝過ごしてしまうパターン。(会社での昼寝なら心配が、筆者のようにフリーランスで自宅で働いている場合、寝過ごしの恐れがある。)長時間の昼寝は、睡眠サイクル(ひいては生活リズム)を壊してしまう。
短時間の昼寝は悪いことではないという点を踏まえつつ、昼寝をすることが自分にあっているかどうか確かめながら、昼寝を取り入れるか検討しよう。
どうしてもうまく眠れない時は、何らかの病気にかかっていないか診てもらう
朝に起きる時にすっきりと目覚めない人は、睡眠に関わる病気にかかっている可能性もある。
普段体調があまりすぐれないなどの症状があり、病気の可能性が気になるのであれば、脳や内臓を調べてもらおう。病気を治すことが先決だし、病気が無いと診断を受けるだけでも安心できる。
また睡眠不足に関しては、身体的な病気の他に、精神面が原因である可能性もある。明日のことや将来のことに不安があると眠れないというケースは多い。慢性的ストレスが原因であれば根本的な解決はなかなか難しいかもしれないが、精神科を訪れてみるのもひとつの考え方だ。
就寝の数時間前
軽めの運動する
運動することによって夜に眠りやすくなる。夕方ぐらいにウォーキングやランニング、筋トレでもよいので運動をしよう。身体に少しの疲労をたまり、夜遅くなるぐらいにはすみやかに眠りにつける。
ここで大事なのが、食事の前に運動することだ。運動してから食事を摂ることでさらに眠たくなる。オススメは夕方のウォーキングだ。
逆に注意したいのは、夜遅くに運動しないこと。21時以降に運動をしてしまうと、睡眠時間まで時間が短いすぎて眠気がくるのが深夜を過ぎてからになってしまう。それと、激しい筋肉運動は疲れがたまりすぎて睡眠の妨げになるので控えるべきだ。
ちなみに夕方だけでなく、朝方のウォーキングもオススメしたい。外が静かなので心が落ち着いて気分良く一日を過ごせる。と同時に適度な疲労をためることもできる。
夕食は寝る3時間前までに食べておく(それ以降食事をしない)
食事は寝る3時間前までに食べておこう。ベッドに入る前に飲食をするのはよくない。寝る前になにかを食べてしまうと、内臓を働かせてしまい身体は深い睡眠状態になることができない。起きた時にダルさを感じてしまう。ただし就寝直前に水一杯を飲む程度であれば問題ない。
アルコール(寝酒)は控える
アルコールは控えたほうがよい。寝酒は鎮静剤の効果があるものの、結果として眠りが浅くなってしまう。
アロマテラピーでリラックス効果を高める
心地よい睡眠には、リラックスが必要だ。
数あるリラックス法の中でも王道といっていいのがアロマテラピー。就寝する2時間程度前からアロマの香りを漂わせることで、リラックス効果が高まる。アロマテラピーに使う精油は種類によって「イライラを沈めるもの」や「頭をすっきりさせるもの」など色々ある。リラックスしたいときにぴったりなアロマオイルはラベンダーやローズ、カモミールなどがあるのでそれをチョイスしよう。
就寝の直前
身体を温めて寝る
身体が冷えていると眠りにくい。ホットミルクを睡眠前に飲むのもよいだろう(前述の通り、飲み過ぎ注意)。
またお風呂に入るのは布団に入る1時間前くらいがいい。お風呂から上がったら身体を冷やさないようにして、1時間後の汗が引いた頃合いに布団に入るのがベストだ。冷え性の女性などは、風呂上がりにソックスを履いて足を温めておこう。足の冷えから来る眠りの妨げを阻止してくれる。
軽いマッサージやストレッチをする
リラックス効果と、身体に適度な疲労をためる意味で、マッサージやストレッチをしてみよう。身体がほぐれて睡眠モードになる。またそのときに、ゆっくり深呼吸してみるとリラックス効果は高まる。
寝る直前までTV・ディスプレイを見るのをやめる
携帯やスマホ、PCの画面を寝る直前まで見ているのは、習慣としてよくない。これらデジタル機器の明かり(特にモバイル機器からでる青い光線)は、人間の目や脳を刺激してしまい、なかなか寝付けない原因となったり眠りの妨げになったりする。
寝る30分前から、TV・ディスプレイは見ないようにしよう。
就寝するとき
最適なベッドや枕、布団を使う
季節にあわない布団だったり、枕が頭のかたちにあっていなかったりすると、身体は十分に疲れをとることができない。そればかりか、睡眠環境が自分にあっていないと、特に「寝返り」がうまくいかず、疲労をためてしまう。
人間は睡眠中に血流が滞ることを防ぐために自然と寝返りをうっており、7時間の睡眠時間の間に10~20回の寝返りをうっているそうだ。睡眠環境が自分にあっていないと、うまく寝返りがうてず血流を滞らせ、目覚めが悪いなどの障害をもたらす。結果として睡眠不足になってしまう。
寝返りをきちんとうてない原因のほとんどは、布団や枕が自分にあっていないからだといわれている。自分の身体にフィットした布団や枕で寝るようにしよう。
特に枕に関しては、色々な枕を試してみないとなかなか自分にあった枕がわからない。金銭的にも負担はあるかもしれないが、違和感があるのなら変えたほうがよい。自分にとって最適な睡眠環境を作りあげよう。
それと冬場は寒いからといって布団を重くしすぎるのもよくない。ある程度軽くしておこう。
ちょうど7時間半眠るよう、起床時間を計算する
人の睡眠には、レム睡眠・ノンレム睡眠といわれる睡眠状態がある。レム睡眠とノンレム睡眠からなる睡眠のメカニズムを理解することで、質の高い睡眠をとれる。
深く解説すると長くなるので割愛するが、レム・ノンレム睡眠の周期は90分単位でくるといわれており、4時間半、6時間、7時間半、9時間程度の睡眠時間がレム睡眠の時間にあたる。要するに、「7時間半」または「9時間」程度寝るのがベストということだ。
入眠時間から睡眠時間を計算し7時間半後に起きるようにすると、ベストな睡眠サイクルとなるだろう。
睡眠導入音楽を聴く
布団に入りながら、睡眠導入音楽を10分程度聴くのもオススメ。リラックス効果をもたらす。サブリミナル音楽、波の音、時計の音、風の音、水滴の滴る音など、脳から癒すものがよいだろう。
ただし前述の通り、寝る直前のディスプレイの見すぎには注意。聴きながら眠ってしまうのも、耳を痛めるので注意しよう。
アイマスク/耳栓/マスクをする
夜眠れないときなどは、カーテンから透ける街灯の明かりでさえ邪魔なものだ。そんなときはアイマスクをして、暗闇の状態にして目の疲れを癒そう。蒸気のアイマスクをつけたまま眠るのもオススメだ。
同時に耳栓もすると周囲の雑音をシャットアウトでき、より睡眠へと集中できる。特に夏場は蚊の「ぷ~ん」という音に起こされることもしばしばあるので、あらかじめ対策をしておくと安心だ。
冬場の乾燥している時期は、マスクをつけて眠るのもよい。保湿効果があり、朝起きた時に喉や鼻の痛みに襲われるのを防いでくれる。ただし慣れていない方だと、呼吸がしにくくなり逆に睡眠が妨害されてしまうこともある。自分にあわないようならばマスク着用はやめよう。
カーテンを開けて、朝に陽の光が入るようにする
これは朝起きられるコツに近いのが、陽の光を浴びることで目覚めがよくなる。スッキリとよい目覚めを得られると、またその日も眠りやすくなり、生活に気持ちよいリズムが生まれる。
時計を見て焦らない
次の日のことを考えて眠れないと、つい「いま何時?」と時計を見てしまう。これは気持ちを焦らせるだけで、時間に対して強迫観念を持ってしまい逆効果だ。