ネットショップ開業前にご一読いただきたい記事を書いてみた。筆者もネットショップは開業済みだが、奥が深いネットショップ運営について一からみなおすいいきっかけになった。どなたかの参考になれば幸いだ。
目次
ネットショップの開き方
ネットショップを開くといっても方法はさまざま。ざっとまとめてみた。
それぞれ一長一短あるので、開業方法で最適なものを見極めることも重要だ。初期費用、月額費用、決済方法、集客サポート、初心者の扱いやすさ等がポイント。
ASPと契約する
王道の考え方で比較的簡単に始められる。ウェブサイトを公開するのに必要なサーバーとドメインを用意してくれるし、なおかつHTMLなどの専門知識がわからなくてもウェブ上の視覚的操作でショップが作れる仕組みが用意してある。アメブロでだれでもブログが持てるのと同じように、簡単にネットショップが開ける。
月額の利用コストはピンキリだが、安価なものも多い。近年では無料サービスも参入してきた。
各サービスごとに、商品項目や決済方法などの仕様が多少違うので、自分の売りたい商品や要件にあったサービスを見極める必要がある。また、得た顧客情報は自分のものになるので、他の方法にECサイトを移管する場合もこれまでの財産として残せる。
ただし集客は自分で行わなくてはならない。アクセスを増やすことが最大の課題となるだろう。
・カラーミーショッププロ
・Eストアーショップサーブ
・Makeshop
・Future Shop2
・SHOP-Maker
・BASE
・Stores.jp
・ZEROSTORE
ショッピングモールに出店する
楽天市場やYahoo!ショッピングなどのモールに出店する方法。一番のメリットは集客力だ。なんといってもそこにつきる。
ただしそれは「モールの客」であり「ショップの客」ではない。最低限の顧客情報しか得ることができない場合も多い。
またシステム利用料やマージンが徴収される。小規模で出品する場合は向いていないかもしれない。
・楽天市場
・Yahoo!ショッピングストア
購入システムは外部サービスを利用
もともとホームページの用意があり、購入システムのみが欲しい方が活用したい方法。
お客様が支払い手続きを済ませる仕組みを外部サイトに任せるやり方。「購入する」ボタンを押すと、一旦別サイトにジャンプする。
デジタルコンテンツの販売が目的の場合は、この方法が適しているかもしれない。お客様が支払い手続きを済ませると、デジタルコンテンツをDLするためのURL情報が送られるという流れだ。こうした仕組みのサービスも無料で利用可能。
筆者もデジタルコンテンツ系の商品を扱うネットショップを運営している。(商品は「WordPressのテーマ」)。まずは母体となるウェブサイトを制作し、決済システムだけ外部サービスの「DLmarket」「Gumroad」を利用している。決済システム導入費用は1円もかかっていない。
・DLmarket
・インフォトップ
・Gumroad
CMSを利用する
自分でオリジナルショップを構築するには、開発費用とサーバー代が必要。1からプログラムを組むのは相当困難なので、オープンソースのCMSを利用して構築する方法が主要。自由度が高く自分に合ったショップを開設することができる。ただしハードルは高い。
CMS次第で、無料または安価に構築することも可能だが、トラブルが起きた場合どうしても専門の知識が必要になる。また集客はASPを利用する場合と同様に自分で工夫しなくてはいけない。
・EC-CUBE
・osCommerce
・Zen Cart
・Magento
購入システムを付けず、電話やメール等で受ける
かなり割り切った考え方。「メールでご連絡いただけたら対応しますよ」という方法だ。顧客が高齢者の方である場合や、販売者側が職人気質の方の場合は、味があっていい。そうはいっても、ECシステムがないというのは基本的にはECサイトとして信頼されにくいので、この方法はあまりオススメできない。
事前準備ができているか
営業許可証申請
このあたりのことは他サイトで詳細な解説がされているので詳しく語らないが、扱う商品によっては「営業許可証申請」が必要な場合がある。食品、酒類、中古品、ペットなどの販売の際は、気をつけておこう。
また、特にモールショップにおいてブランド商品を取り扱う際には、偽ブランド品の被害防止目的で別途手続き申請を求められる。必ず確認しよう。
屋号、あるいはショップ名
これは絶対に必要。当然ホームページに記載することになる。また、開業届けを提出する際に記載欄があるので、早い段階で決めておこう。ネーミングそのものも重要だし、独自ドメイン(「●●●.com」や「●●●.jp」など)が取れる屋号であれば素晴らしい。
独自ドメイン
独自ドメインは必須ではない。ASPサービスを利用する場合、そのASPサービス側でドメインが渡されるので、そのドメインを使用しても運営は可能だ(カラーミーショップの例:●●●.shop-pro.jp)。
ただし独自ドメインでない借り物のドメインで運用していると、どこか「素人っぽい」「軽い気持ちで運営している感じがする」という印象を持たれる。個人的には独自ドメインを取ることを勧める。
納品書用の印刷機器や梱包資材などの基本設備
これも基本的なことだが、開業準備が慌ただしいと忘れてしまうかもしれない。開店前に、商品購入手続きがあった場合の、販売し終えるまでのシミュレーションをきちんとしておこう。
また、デジカメも商品写真撮影として必要のようにも思えるが、プロの写真屋さんに撮影してもらったほうがいい。暗くて写りの悪い写真だと、売れるものも売れなくなる。インターネット上でお金を払うということは多かれ少なかれお客様はナーバスになりがちなので、ちょっとしたことで購入ボタンを押すことをためらわれてしまう。
売れるネットショップと売れないネットショップの違い
売れるネットショップと売れないネットショップの違いとはなんだろうか?
売れる商品がある
実店舗と同じことだが、商品に魅力がなければ売れない。それが「商品そのものの魅力」なのか「低価格の魅力」なのか「ここでしか手に入らない限定性の魅力」なのかは戦略次第だ。
また忘れがちな重要ポイントとして、商品の魅力をきちんと伝えられているかというのもある。トップページでセールスポイントを積極的にプッシュしているかどうか、セールスレターは考えて書かれたものかどうか、など。商品に魅力があっても、それが伝わらなかったら意味がない。知恵を絞ろう。
活気がある
まずまず商品がいいのに、まったく売れないお店もある。そんなお店に多のが、お客様が本当にいるのかどうかも怪しいような「放置された」ネットショップだ。もっと積極的に、活気があるお店だということをアピールしよう。
どんなかたちでも構わないので、「ライブ感」をアピールしよう。「期間限定」「タイムセール」などの表現は、毛嫌いする方もいるが手法としては有効。また、こまめな最新情報の更新も大切だ。いまでは、記事更新をFacebookページで行うのも一般的。どんなかたちでもいいので、活気を伝えてあげよう。
戦略がある
数字を見て運営の意思決定ができるようにあれば、それは大きな強みとなる。
例えば、ネットショップ運営で主に苦労するのは集客について。SEOは簡単ではないので、アドワーズ広告への出稿なども検討する必要性が出てくるかもしれない。しかし、その広告に具体的いくらまで投資していいのかの指標を持っていなければ、せっかくの投資も無駄になってしまう。正確な効果測定をし数値を分析する力を養って、戦略的に行動する必要がある。
ネット広告で成果を上げるには、「LTV(顧客生涯価値)>CPA(顧客獲得単価)」のようにシンプルな指標を立て、その数値を基準に意思決定することが重要だ。なんとなくの運営でなく、数値をしっかり見て問題点をあぶり出し戦略的に対策を取るようにできれば、売上を上げることは可能なはずだ。コンサルティングに投資するのも考え方のひとつ
おわりに:ネットショップは奥が深い
ECサイトを開設するにあたっては、「どこまで初期投資できるか」と「運営費用はどのくらいかけられるか」ということが大きな課題となる。両方とも大事。しっかりした商品を準備し、それを広く知ってもらう努力をすれば、必ず結果は返ってくるはずだ。
つまるところ「商品そのものの魅力」と「宣伝力」「販売力」が重要なのだ。リアルな店舗と同じである。
ショップ運営は奥が深い。ECサイトに限らないが、ウェブサイトというのは、開設よりも運営のほうがよほど大変だ。自分にあった方法を選んでネットショップを開設たら、あとは粘り強く「売れるECサイト」に育てあげよう。時間も投資も惜しんではいけない。