加藤元浩先生原作の『Q.E.D. 証明終了』。『名探偵コナン』『金田一少年の事件簿』と並ぶ「三大推理漫画」と表現されることもあるが、前述の2作と比べると随分マイナーな当作品。しかし良質なミステリーが揃っており、安心して読める名作漫画だ。
コミックス1巻あたり2つの事件が収録されている短編集作品で、あっさり読める。とっつきやすくてオススメだ。
そんな『Q.E.D. 証明終了』において、主人公燈馬想が今まで遭遇してきた事件やエピソードの中でも特に愛すべき回を、いくつかピックアップした。
目次
- 1 Q.E.D. 証明終了 オススメの事件(神回)35選
- 1.0.1 ミネルヴァの梟(1巻)
- 1.0.2 銀の瞳(1巻)
- 1.0.3 六部の宝(2巻)
- 1.0.4 ブレイク・スルー(3巻)
- 1.0.5 褪せた星図(3巻)
- 1.0.6 ヤコブの階段(4巻)
- 1.0.7 歪んだ旋律(5巻)
- 1.0.8 光の残像(5巻)
- 1.0.9 ワタシノキオク(6巻)
- 1.0.10 青の密室(6巻)
- 1.0.11 Serial John Doe(7巻)
- 1.0.12 フォーリング・ダウン(8巻)
- 1.0.13 凍てつく鉄槌(9巻)
- 1.0.14 魔女の手の中に(10巻)
- 1.0.15 虹の鏡(12巻)
- 1.0.16 災厄の男(13巻)
- 1.0.17 夏休み事件(14巻)
- 1.0.18 デデキントの切断(15巻)
- 1.0.19 サクラ サクラ(16巻)
- 1.0.20 いぬほおずき(17巻)
- 1.0.21 名探偵”達”登場!(18巻)
- 1.0.22 3羽の鳥(18巻)
- 1.0.23 無限の月(20巻)
- 1.0.24 多忙な江成さん(20巻)
- 1.0.25 狙われた美人女優…(略)(21巻)
- 1.0.26 春の小川(22巻)
- 1.0.27 ライアー(23巻)
- 1.0.28 夏のタイムカプセル(26巻)
- 1.0.29 立証責任(27巻)
- 1.0.30 ファラオの首飾り(28巻)
- 1.0.31 人形殺人(30巻)
- 1.0.32 マジック&マジック(32巻)
- 1.0.33 バルキアの特使(41巻)
- 1.0.34 初恋(45巻)
- 1.0.35 坂道(47巻)
Q.E.D. 証明終了 オススメの事件(神回)35選
ミネルヴァの梟(1巻)
記念すべき第一話で、想が変人として初登場。この時点では可奈は想に対してかなり印象悪そうだが、事件解決に臨むうえではいきなり相性抜群。
ゲーム会社の社長が密室で殺害された事件で、複数人の容疑者がいてトリック&犯人を推察するという一般的なミステリー構成となっている。
銀の瞳(1巻)
人形師の病死直後、残された人形の前で悪徳な金貸しが怪死する。動機のある関係者たちの発言はなぜバラバラに食い違うのか?ファンの間でもかなり評判のよいエピソードで、TVドラマ版でも採用された。
六部の宝(2巻)
山奥の村で起こる、六部殺しの呪いに見立てられた連続殺人事件に想と可奈が挑む。想と可奈の仲にも変化が見られる。静菜様はかなり印象に残る素敵なキャラクター。
ブレイク・スルー(3巻)
想のマサチューセッツ工科大学(MIT)時代の仲間、ロキとエバが来日する。想が大学を去るきっかけとなった論文破棄事件の犯人は、想の親友のロキなのか?後に準レギュラーとなるロキとエバの初登場回だけに見逃せない。
褪せた星図(3巻)
雪山の天文台で焼死体が発見され、さらに首吊り死体まで。悲しいすれ違いの過去が招いた不可解な事件を、想が解決に導く。
ヤコブの階段(4巻)
突如東京の交通システムが麻痺。システムダウンの原因はエバが作った人工生命クランだといい、クランは東京の何処かのコンピュータに逃亡。想とロキはクランの行方と事件の原因を追う。今の時代に読んでも通用するこの作品が1999年発表というのだから凄い。
歪んだ旋律(5巻)
楽団への援助を求めていたチェリストが犯した殺人のトリックを見抜く。死体の隠し場所とアリバイ工作のトリックとは?『Q.E.D.』においてはじめて、最初から犯人が分かっている「倒叙形式」で描かれる回。
光の残像(5巻)
古いカメラに残された5枚の写真に興味を持ち、田舎の山村にやってきた想と可奈は、ある蔵の土壁に塗り込められた古い死体を発見する。かつてこの蔵では千里眼少女・桑野タキが養生をしいられていたというが…。そして桑野タキの子供である草森家の三人が、カメラも持ち主と名乗り現れる。
ワタシノキオク(6巻)
想と妹の優の記憶が蘇る。泥棒の濡れ衣を着せられた優を救うことで、想は優とのすれ違いの距離は埋められるか?人情味がなさそうに見えて、妹思いの優しい一面をちゃんと持っている想の魅力が楽しめる一話。
青の密室(6巻)
スカイダイビング中に刺殺による殺人事件が発生。前代未聞の天空での密室殺人の謎に、想が命がけで挑む!?TVドラマ版では第1回を任されたインパクト満点の怪事件。
Serial John Doe(7巻)
想と同輩のMIT主席卒業者を狙う連続殺人が発生し、数学科主席の想もターゲットに。なぜシリアルキラーは、人類の宝とも言うべき美しいある「式」にこだわるのか?ちなみにジョン・ドウ(John Doe)とは、英語でいう「名無しの権兵衛」。
フォーリング・ダウン(8巻)
バンジージャンプ施設での消防教官の転落死事故に遭遇。想と可奈は殺人を疑うも、動機が明確な有力な容疑者は高所恐怖症で犯行不可能!?果たして本当に殺人事件なのか?
凍てつく鉄槌(9巻)
30年前に閉じたはずの勝鬨橋の中から、25年前の腕時計をした死体が発見される。不可能犯罪。数学の有名な問題「ケーニヒスベルクの橋」。そして勝鬨橋の犯罪を自供する謎の老人。天才と天才の頭脳がぶつかりあう、『Q.E.D.』シリーズの中でも屈指の傑作!
魔女の手の中に(10巻)
想の人となりに大きく影響を与えた、過去の悲しい事件。想と女検事アニーの関係、そしてアニーが挑んだ「魔女裁判」事件の真相とは。この一話で一区切りがつくが、12巻『虹の鏡』へと続く。
虹の鏡(12巻)
10巻「魔女の手の中に」の完結編。魔女裁判の関係者が次々と命を狙われていく。警察は被害者が死ぬ直前に会っていた想が犯人であると確信し、想の行方を追う。一方可奈とロキも想の無実を信じ行方を追うが、そこに死んだはずのアニーらしき人物まで現れ…。
災厄の男(13巻)
(どうみてもビル・ゲイツがモデルと思われる)世界一の大富豪アランが初登場。アランは自社の人材難の問題を解決するため、旧友の想を自社へ迎えようとするも拒否される。そこでアランはレンブランドの絵にまつわるゲームを想に仕掛ける。
個人的には本編よりも、『虹の鏡』の続きとして可奈のヤキモキした想いが描かれているところに注目してしまう回だ。
夏休み事件(14巻)
学校内で発生した奇妙な事件を想が調査する。容疑者はそれぞれ対立している先輩達含む4人だが、果たして犯人とその動機とは?ラストシーンの想の一言は必見。
デデキントの切断(15巻)
気難しい数学の老教授ドーンは、問題児である元助手ジョン・トールの嫌がらせに悩んでいた。いくら厳重に戸締まりしても、執拗に部屋を荒らしに来るジョン。そんな教授に想は「デデキントの切断」という言葉を残し大学を去り、ジョンもまた消えた。あれから月日が立ち、ドーン教授は想が発した「デデキントの切断」の言葉の真意を聞きに来るが、再びジョンの影が忍び寄り…。
サクラ サクラ(16巻)
想を意識した3年の先輩・峯岸が現れ、可奈に想との関係を問いただす。ヤキモキする可奈だが、やがて想と可奈のビミョーな関係についに答えが出る?この回以降、あまり想と可奈の関係を描く回が少ないのが寂しい。
いぬほおずき(17巻)
映画の撮影中に、模擬刀が本物の小刀とすり替えられ主演俳優が死亡した。さらには美術スタッフまでもが密室で殺害され…。映画「いぬほおずき」に秘められた事件の謎、そして殺人の動機とは?
名探偵”達”登場!(18巻)
準レギュラー化する「探偵同好会」の3人が初登場する回。咲坂高校で発生したケーキ盗み食い事件、さらにはいくつかの心霊現象や怪事件まで巻き起こり…。探偵同好会は珍妙な推理を繰り広げるも一向に解決に向かわず、最終的には想と可奈まで巻き込まれることに。
3羽の鳥(18巻)
笹塚刑事の故郷で男女の遺体が発見された。心中かと思われたが、笹塚刑事はおぼろげに事件現場に遭遇した記憶があって…。しかし核心は全く思い出せず刑事失格かと悩む笹塚刑事に、想と可奈が助け舟を出す。
無限の月(20巻)
亡くなったはずの友人・胡から想にメールが届き、中国マフィアのボス達の殺人連鎖が発生する。メールに残された「φの場所」の意味と、パラドックス殺人の真相に迫る。胡の皮肉な生き様が格好いい、かなり印象的な事件。
多忙な江成さん(20巻)
探偵同好会のリーダー江成姫子の祖母ヒナ江にまつわるエピソード。資産家であるヒナ江に身の危険が迫っていると感じた姫子は、探偵同好会メンバーと可奈に警護を頼む。しかしヒナ江自身の態度もどこか妙で、次第にヒナ江の周囲で奇妙な出来事が起こり始める。
狙われた美人女優…(略)(21巻)
コミカルなネタ回として必見のエピソード。ロマンに生きる男、火サス大好き「火サス刑事」笠山が大活躍。落ち目の女優渚幸代は、話題作りのためマネージャーとともにストーカー事件をでっち上げるが、事件は次第に狂言ではなくなってゆく。
春の小川(22巻)
記憶をなくし絵が書けなくなった日本画家・赤羽。そんな赤羽の前に、彼を別人だと思い込む2人の人間が現れる。赤羽は本当に画家なのか?記憶の鍵を握る「大切な場所」とは?
ライアー(23巻)
想の友人・ライアンがクルーザー内で殺害される。乗船した容疑者全員がライアンに恨みを抱いており動機は十分だが、アリバイもある。嘘をついているのは誰か?そして真犯人は?
夏のタイムカプセル(26巻)
偶然見つかった可奈のタイムカプセルの中には野球のボールが。可奈はボールの記憶を思い出せないが、クラスメイトの西丸は覚えているようで…。可奈の優しい一面と想の笑顔が印象的な回。
立証責任(27巻)
裁判員制度導入に先駆け学校で模擬裁判が行われることになり、想と可奈は裁判員役に。実際にあった強盗傷害事件をモデルに行われるが、冒頭陳述を聴いて可奈は有罪無罪どちらを選べばいいのか悩む。想は事件の真相にたどり着いたようだが…。
ファラオの首飾り(28巻)
姉妹作品『C.M.B. 森羅博物館の事件目録』とのコラボ作。想はエジプトの王墓の調査を引き受けるが、「ツタンカーメンの呪い」が想を襲う!?
人形殺人(30巻)
都内で発生した連続マネキン破壊事件。次第に事件は傷害や殺人へとスケールアップしていく。マネキンが「殺害」された意味とは?
マジック&マジック(32巻)
マジシャン黒法子のマジックショーを見にきた想と可奈だが、タネが解ってしまう想には驚きが足りない。黒法子は想を呼びつけ、「見たことのないマジックで驚かせてやる」と言う。想がはじめて敗北を喫する回でもあり必見。
バルキアの特使(41巻)
姉妹作品『C.M.B. 森羅博物館の事件目録』とのコラボ作。東欧の小国・バルキアで3万人もの虐殺を主導した前大統領スワミがベルギーで逮捕された。国際法では裁判はバルキアで行われるべきだが、世界はバルキアを信頼しておらず、ベルギーは自国で裁判を行うと主張する。裁判権を得るべくバルキア側の代理人となった想だが、対するベルギー側の代理人は榊森羅だった。
想VS森羅の構図が印象的な必見の回(実はそこまで対立してはいないが)。
初恋(45巻)
咲坂高校の平凡な高校生・古巴は、校内屈指の美女である礼奈に告白され付き合うことに。ある日古巴の住むマンションのベランダで死体が発見され、古巴は警察に疑われる。想に助けを求め、事件は解決に向かうが…。初恋の甘酸っぱさが描かれた印象に残るエピソード。
坂道(47巻)
人気モデル・歌川亜季は、中学時代イジメられていたが過去を持つが、可奈に救われていた。クラスでゲーム盗難事件が発生した時も、亜季が疑われたが可奈は無実を信じてくれた。亜季は同窓会で、なぜ自分の無実を信じてくれたのか可奈に聞き出そうとするが、可奈は既に忘れていた。そんななか、可奈は友達と亜季の実家に遊びに行くが、生活費紛失騒動が起こってしまう。